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大人になってますますベジータが好きになった理由

ドラゴンボールの登場人物の中ではベジータが好きだ。

もちろん悟空や悟飯やクリリンやピッコロやヤムチャ天津飯亀仙人フリーザ様や他にも好きなキャラはたくさんいてそれぞれに好きなところがたくさんあるのだけど、ベジータに対して思うところは自分の中でちょっと別格感がある。

ベジータに関しては好きというかむしろ尊敬枠に入るかもしれない。それはなんといっても、作中で彼ほど何度も挫折を味合わされ、そのたびに人間くさくもがいては立ち上がり、大きく変化していったキャラはいないからということに尽きる(以下、ネタバレの嵐につき注意)

 

 

ベジータの初登場

初登場のベジータは圧倒的だった。まずラディッツからしてすごかった。悟空とピッコロが2人がかりでも歯が立たず、悟飯の頭突きをまともに食らうというあの痛恨のミスがなかったら普通にラディッツが勝っていただろう。

悟空が犠牲になってなんとかラディッツを撃退した後、Z戦士達は1年後のサイヤ人襲来に備えて修行を積む。

そして1年後やってきて先鋒を務めたナッパはラディッツを弱虫と言ってのけるほどの強さで、猛特訓で戦闘力を大きく上げたZ戦士も次々蹴散らしていく。ピッコロすらてんで歯が立たず、肘鉄とエネルギー波の計2発で沈む始末。

それほどの実力を見せつけたナッパが、一喝されてブルブル震えてしまう。ベジータはそんな圧倒的存在だった

しかしここでベジータは悟空にそのままでは勝てないと悟り、プライドを捨て大猿に変身する。それでも伏兵ヤジロベーや悟飯の大猿化などの想定外の展開に撤退を余儀なくされる。

私を含むリアルタイムで読んだり見たりしていた人には、「サイヤ人の中でもナンバーワンの実力者だった」ベジータにとって初めての敗北ぐらいのことだったと思ったに違いない。

 

ナメック星でのベジータ

ところが、ナメック星に行くと様子は激変する。あれだけの強さと尊大さを誇ったベジータが「フリーザには勝てん」と当然のように繰り返しつぶやくのである。

とはいえさすがはベジータ、キュイ、ドドリア、一般のナメック星人を次々撃破していく。フリーザには勝てんとは言っても「他の奴らはともかく」と言うだけあり、やはり強い。

今度はザーボンをやっつける…のかと思ったら、変身したザーボンにはあっさりやられてしまった。おいおいおいフリーザ軍団半端ねえな。

と思ったら復活したベジータは、変身したザーボンすらあっさりやっつける。おいおいおいおいやっぱりベジータ半端ねえな。

と思ったら今度はギニュー特戦隊である。あのベジータがほとんど取り乱している!いざ戦闘開始、リクームが強すぎる!おいおいおいおいおいやっぱりフリーザ軍団半端ねえな。

こうなってくると、ベジータ実はネットにはびこるイキリ大学生みたいなやつだったのでは…?という疑念がどうしても出てきてしまう。劇場版含めれば別組織とはいえクウラ機甲戦隊なんてのもいたわけで。しかも3人ともギニュー隊長より戦闘力高いし。宇宙は広い。

ちなみにベジータは特戦隊と戦う前、ネイルさんに「死にたいらしいな…」なんて啖呵を切っているけれど、このときのベジータの最大戦闘力約3万*1に対し、ネイルさんは4万2千。すこしは寿命がのびて、結果的に悟空がフリーザに勝てるチャンスを作った特戦隊に感謝だ*2。気の毒だけど、ベジータはこういうところがたまらない。

 ここからのベジータはだいぶきつい。リクームにコテンパンにやられたあと、また復活してジースや身体の馴染んでいないギニューを圧倒するも、やっぱりフリーザには第2形態以降びびってしまって、不意打ちするのがせいぜい。あとは悟飯やクリリンやピッコロが頑張ってる後ろで恐れ戦きながら解説役になってしまう。

そして「この俺を半殺しにしろ!!!!」。死の淵からはいあがれば強くなるはずとはいえ、いくらなんでもそんなチート技…しかも一度断ったデンデに蹴りを入れる器の小ささである。サイヤ人の王子の誇りどこいった。

結局このときスーパーサイヤ人になることは叶わず、最終形態となったフリーザには手も足も出ず、真の恐怖と決定的な挫折に生まれて初めて心の底から震え上がり、恐ろしさと絶望に涙すら流し、戦意を失ってなすすべもなく無残に殺されてしまうのだった…。

 

地球に移住したベジータ(人造人間・セル編)

バトル漫画とは無慈悲なもので、一度主人公に負けた敵キャラは、当初どれほど強かったとしても、再度スポットライトが当たったときには厳しい戦いを強いられるのが常である。

ベジータもその例に漏れず、フリーザ編に引き続いて人造人間・セル編でも苦汁をなめ続けることになる。それでもベジータがただの「フリーザ編の前説」で終わらなかったのは、セル編で見せた大きな成長のためだろう。

 

ドラゴンボールナメック星人共々生き返り地球にやってきたベジータは、ブルマの誘いでカプセルコーポレーションに居候する。この後1年半ほどのベジータは何してたのかよくわからないけど、フリーザが親子で地球に来たときはピンクのシャツを着てヤムチャとブルマとBBQしてたりするので、わりかし穏やかに過ごしていたんだろうか。

なおここでのヤムチャ、自分が殺されてからまだ2年ぐらいだろうに普通にその犯人*3とビール片手にBBQ…しかも天津飯によれば一緒に住んでるのか…すげえな…という話もあるけれど、それは今回は置いておく。

結局フリーザ親子はトランクスがやっつけたわけだけど、ここでスーパーサイヤ人の強さを目の当たりにしたベジータは、人造人間の襲来に備えて300Gの重力室で修行を始める。

3年後には見事スーパーサイヤ人になって戻ってきたものの、そのきっかけは限界に気づいたときの「自分への怒り」だったという。おそらく重力室で努力を重ねるほどに、あのとき見た悟空やトランクスとの差を痛感して悔しい思いをしてきたんだろう。

それでも地道な努力をやめず、ついに限界を突破したのがこのときのベジータだ。まずこの時点ですごい。つい調子に乗って人造人間16~18号まで目覚めさせてしまいたくなるのもわかる。結局そのせいで、また18号にコテンパンにやられてしまうんだけど。気の毒だけど、ベジータはこういうところがたまらない2。

そのうえ数日後?にはセルが現れて、ピッコロも神様と合体して、またしてもベジータより強い奴がゴロゴロいる状態に。これはつらい。それでも折れずに「もっと強くなる」と決意するのが、またベジータのすごいところである

ベジータ精神と時の部屋に入り、トランクスと修行してセル第2形態をも圧倒するパワーを身につけて帰ってくる。結局また調子に乗って完全体にさせて返り討ちに遭うんだけど。気の毒だけど、ベジータは(ry

その後セルゲームまでの間に再び精神と時の部屋に入って目一杯修行するものの、悟空からスタートでも特に文句を言わないあたり、悟空に追いつけなかったことをこの時点で理解していたように思われる。

セルジュニアにも手こずり、怒りで目覚めた悟飯の強さに震え、またしても大きな挫折を覚えただろう。1つの目標にしていた悟空もまた死んでしまった。それでもさらに強くなって戻ってきたセル。トランクスまでやられてしまう。

そんなこの場面は、ベジータの大きな成長を感じる瞬間である。ベジータフリーザ編のままなら、たぶんまた震えて泣き出しただろう。しかしここでのベジータは、セルに挑みかかるのである。あっさり退けられてしまうけど。気の毒だけど、(ry

成長を感じるのは次の場面もだ。なんとベジータが悟飯に謝る。もはや自分が1番では決してないということを認められるようになっていたのだ。認めざるを得ない状況とはいえ。

だけどさらに成長を感じるのは、次のシーンだろう。悟飯とセルがかめはめ波を撃ち合っているとき、ベジータはセルに横槍を入れるのである。ベジータフリーザ編のままなら、たぶんまた戦意を失って何も出来なかっただろう。このときのベジータは、セルが振り向いた頃にはもう黒髪に戻っている。こんな状態でも立ち上がれる精神的強さまで、ベジータは手にしていたのだ*4

さらに、戦い終わって「オレはもう…戦わん…」なんて言っちゃうぐらいにはショックを受けつつも、トランクスが未来に帰るときにはちゃんとやって来て木陰からピッと指を立てて見送るという社会性も見せるようになった。デンデを蹴っ飛ばした時とはまるで別人だ

 

悟空がいなくなってからのベジータ魔人ブウ編)

ご存じのように(?)、魔人ブウ編のラストでベジータはついに悟空をナンバーワンだと完全に認める。 その下りだけでも感動の嵐なんだけど、魔人ブウ編はそこに至るまでのベジータの立ち回りも大変に味わい深い。

魔人ブウ編でのベジータの初登場は、悟飯がブルマに変装を作って欲しいとカプセルコーポレーションを訪れたときである。このときベジータはトランクスを悟飯より強くするべくしごいていたらしい。

「本格的に鍛え始めてもいいトシになった」とは言うけどまだ8歳でしょ…いくらなんでも…とはいえベジータも小さい頃から宇宙の地上げ屋やってたぽいし、サイヤ人はわりとそんなもんなのかも。まあ地球人も小学校から空手始めたりするしいいのか。少なくとも重力室から出てきたトランクスは笑顔だし、ちゃんと加減してるようだ。

なんだかんだトランクスも悟天もなついてるしブルマも楽しそうだし、ツンデレなだけで案外いいお父さんしてたのかも。

そんなベジータが悟飯とのすれ違いざまに言ったセリフは「カラダがなまってるぞ いくら平和だからといっても訓練はしておけ」。

次のセリフはこのしばらく後、天下一武闘会があると聞いたときの「…そのなんとかって大会…きさまが出るならオレも出る」「あのときは大きな力の差があった…だが今はどうかな?」「きさまが平和にうかれているあいだも オレはトレーニングをつづけていた」。

さすがベジータである。セルゲームで「もう戦わん」と言ってしまうほどのショックを受けつつも、ちゃんとトレーニングを続けていたらしい。しかも悟空に「覚悟しておけ オレはずいぶんウデをあげた」と言い放つほどに!ぜんっぜん働きはしなかったようだけど。ヒモ生活うらやましいぞ。

 天下一武闘会ではテレビ局の女子アナにつっけんどんな態度を取ったり予選のパンチマシンをぶっ壊したり大人げない態度が目立つものの、トランクスを全力で応援してたり一緒に大食いしたり大変かわいらしい。丸くなったなあ。

悟空との勝負にもこだわりつつも、気に入らねえと言いながらでもおとなしく悟空とともにスポポビッチ・ヤムーを追うのに協力するのもすごく大人になった感。まあこの時点で40歳超えてるはずだしさすがにそのぐらいの分別はあるか。

…と思ったらバビディの術にかかってちょっと喜んじゃったりするんだもんなー。でもかかったときに汗かくのはともかく、観客を殺したときに一旦引いた汗をまたかいてたり、バカなことと言われたときにいつになくムキになって言い訳したり(悪の心が増幅されてるとは言え)、この時点で相当な葛藤があったことが伺える。その後の操られた意図の告白でも悟空から「ほんとにそうか?」って言われちゃうように。

だけどブウが復活した責任をきちんと取ろうとするのが今のベジータである。セルの時は悟空が劣勢になってきた頃にはもはやほとんど諦めムードになっていた。無理もない。完全体のセルにはすでに一度やられているし、自分もそのときより強くなったとはいえ、それより強いはずの悟空が劣勢なんだから。

ブウの元へ向かったときはまだブウを舐めていたとはいえ、今回は今までのベジータとは全く様子が違う。今までのベジータは何とかして自分が生き残ることを最優先で考えていた。それが今回は、自分が犠牲になるのも厭わずに家族や地球を守ろうとしている。死んだ後のことをピッコロから聞かされてもその決意は揺るがない。ここはもはや完全にベジータが主人公。結局ブウは倒せなかったけど。

 そのあとしばらくベジータは退場してしまうけど、もしものときのために閻魔様が魂をそのままにしておいたおかげで戦線復帰。ポタラ合体にすぐ応じなかったのはベジータらしいけど、なんだかんだでちゃんとやってくれるところにまた成長を感じる。と思ったら合体解けた後ポタラを握りつぶす。ブウが戻ってきてうろたえる。やっぱりいつものベジータだ。でも次もう一回ポタラを握りつぶしたときにはもううろたえない。

そして悟空とブウの最終決戦が始まり、例の下りを経て、悟空が気を溜めるまでの時間稼ぎという今までなら絶対やりたがらなかった役回りを進んで引き受ける。そしてドラゴンボールを使った奇策。今までのベジータなら何が何でも自力で倒すのにこだわったろうに、地球を救うためにそこまでするようになったのだ。頼み方がヘタすぎてうまくいかなかったけど。サタンがいて本当によかった。

まあでもここのベジータを茶化すのはかわいそうかもしれない。もうスーパーサイヤ人なれないぐらい消耗してたのに、それでも悟空が元気玉を作るための時間稼ぎを買って出たんだから。

 

その後のベジータ

エピローグはブウを倒した10年後、天下一武闘会に久しぶりに悟空が出るというのでベジータもちゃっかり出場。煽られていらついて試合開始前に対戦相手をぶっとばしてしまう。そういうところは変わってなかった。

だけど強い奴と出会えてうれしそうな悟空を見たベジータは、すごくうれしそうな表情をしている!あのベジータが!

作中の時系列を数えると、初登場で宇宙人の腕を食ってたあの日からおよそ25年。あの冷たい目をした青年が、こんな穏やかな表情を見せるようになるとは。2頭身だった頃とほとんど変わってない悟空とは実に対照的だ。

大きく変わったという意味ではピッコロも負けず劣らずだけれど、その過程の描かれ方を含めれば、やはりベジータは随一だろう。そういう意味では、サイヤ人襲来以降のドラゴンボールベジータの成長物語と言ってもいいぐらいじゃないかと思う。

なおブウ編からエピローグまでの10年の間のお話は、近年劇場版や「ドラゴンボール超」として改めて描かれている。アニメは終了したけれど、Vジャンプでは宇宙サバイバル編の更に続きが連載中だ。もちろんおじさんはまだ追っかけてるぞ。

ドラゴンボール超でもベジータは悟空のライバルとしてさらに高みを目指し続けている。というか、悟空と一緒に修行するまでになっている。テレビアニメ最終話のラストシーンがまた感動的で…だって一番最後のあのカットのファイティングポーズはさあ…!!

ドラゴンボール超はとても良いので、食わず嫌いのファンにもぜひ見ていただきたいところ。破壊神ビルス編と復活の『F』編はちょっと引き延ばしがきつい&なぜか作画が不安定なので劇場版を見た方がいいと思うけど*5。未来トランクス編と宇宙サバイバル編はZに勝るとも劣らないと個人的には思う。GT?ノーコメントで…*6

 

つい熱くなって完全に前世紀末のテキストサイトのノリで書いてしまった*7。でも、ことほどさようにベジータはたまらんのです。年を重ねた結果尊敬枠に移っていくのも仕方ない。

皆さんが好きなドラゴンボールキャラは誰ですか?(ドラゴンボール以外でも。熱いキャラ語りが読みたい)

*1:初版では2万だったのがアニメなどでは3万に訂正され、kindleのカラー版では2万に戻っていて謎。2万ではザーボンにも勝てないので3万の間違いと考えられる

*2:ベジータが地球で「悟空を待ってやろう」と提案したとき、ピッコロたちに「すこしは寿命がのびたんだ 感謝しろ」と言っている

*3:精確にはサイバイマンだけど

*4:アニメではまだスーパーサイヤ人を維持しているような色合いだったけど。欲を言えばこの髪色の表現はちゃんと拾ってほしかったなあ

*5:ブロリーも途中作画が崩壊しかけるシーンがあって謎

*6:リアルタイムではたまたま少し冷めてたタイミングだったのと、アマゾンプライムとかにも知る限り出てきてないためまだほとんど見ておらず、コメントできる立場にないのです

*7:昔もテストが近づくほどにメモライズとかmixiとか捗ったよね