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2021年版:大学新入生のパソコンの選び方

 結論から書くと、 

  推奨 妥協
タイプ ノートパソコン
CPU Core i7 Core i5
OS Windows 10 Pro Windows 10 Home
オフィスソフト なし or Microsoft Office Home and Business
メモリ 16 GB以上 8GB
ストレージ SSD 512GB以上 256GB
グラフィック GeForce系 or Radeon (選択無し)
重量 2.0 kg以内 (選択無し)
駆動時間 10時間以上 6時間以上

 
 価格ドットコムのスペック検索で上記「推奨」ぐらいの条件をつけて選べばだいたい間違いないと思います(※個人の感想であり効果・効能を保証するものではありません)。 

 「推奨」の価格帯だと高いと思う場合や、プログラミングや動画・写真編集やゲームが必要にならない公算が高い場合は「妥協」のスペックぐらいにしても学生の間はわりと快適にすごせるかと。

 もちろん「推奨」より高いスペックにしたところで使いにくくなることは基本無い*1ので、予算の範囲内で最大限にしておくのがおすすめです。スペック低いと動作が多少ゆっくりなのは我慢できても、新しいことやりたくなったとき・やらねばならなくなったときに必要なソフトをインストールできないとか、インストールできても使い物にならないとかのリスクが高まるので*2。そのとき新しく買い換えるよりは安く付くと思って奮発しましょう/親御さんを説得しましょう。

 なお予算的な問題が無ければ、同等なスペックのを大学生協で探して買うのが安心です。高く付く分、講習会とかメンテナンスとか故障・事故時の修理保証とか充実してます。すでにPCに慣れてる人や価格を抑えたい人は生協以外で買ってもよいでしょう。

 

 以下、各項目の詳細。

 

 

 

 

 タイプ

 ノートパソコン(ラップトップ)かデスクトップ(据え置き)か。マニアとかゴリゴリのゲーマーとかでなければノートでも十分な性能のがたくさんあるので大丈夫。何より持ち運べて便利。家とかで画面が小さいのが不満なら外部ディスプレイを別途つなぎましょう。デュアルディスプレイめっちゃ快適です。トリプルならなおさら。

 

CPU

 パソコンの処理能力を決める部品です。人で言うと頭脳の賢さ。性能が高いものほどサクサク動きます。プログラミングや動画・写真編集、3Dゲームする人はCore i7必須ぐらいで考えておくのが無難。なおCore i9, i7, i5, i3は新しさではなくブランドのランクなので注意(新しさは「世代」と呼ばれる)。

 ランクや世代が変わると「コア数」が変わることがあります。コア数が多いほどマルチタスク(同時並行でいろんなアプリを使ったりすること)に強いということです。

 同じランク・世代で比べると「○Hz」という違いがありますが、これはCPUの頭の回転(=計算)の速さに相当するクロック周波数と呼ばれる数値です。大きいほど処理がスムーズですが、そのかわり電力を食います(=バッテリーの持ちが短くなる)。ノートパソコンの場合、ゲームや動画編集やりまくる人以外は省電力モデル(周波数が2.0GHz前後のもの)の方で十分です*3

 あとAMD社のRyzenシリーズも話題ですが、たまに相性悪いソフトがあるので、Intel社のCoreシリーズが無難です。

 

OS

 主にWindowsMacか。ここはWindows一択*4

 Macはたしかにかっこいいけど、Windowsでもかっこいいモデルあるし、就職したら9割の人はどうせWindowsを使う羽目になります。大学の先生は比較的Mac率多い気がするけど、それでも少数派には変わりないです。

 少数派で何が困るか。パソコンの実習とかも大抵Windowsなので宿題やレポート作成で困ります。周りにも気軽に聞ける人が少ない(教員もわからない)。フリーの便利ソフトが少ないだけでなく、卒研などで使う専門的な機材やソフトがMacに対応してないことも多いです。対応してても英語版Onlyとか、OSアップデートが入ると突然使えなくなることもある(Windowsではなんだかんだ使えることが多い)など、何かとストレスフルです。

 そんなこともあってかMacのPCにWindowsも入れておく人は結構多いです。が、最近新しく出たMacは普通のWindowsが対応してないCPUになったので、今後はそれもできなくなってますます困る可能性があります。そのCPUは処理能力はすごいらしく用途が合う人は絶賛してるけど、やっぱり今まで使ってたアプリが使えなくなったなどの問題も多い模様。

 さらにはMacは外部接続端子が少ないとか、いちいち高価な専用ケーブルを買う必要があるといった不便も。総合的に、個人的には「かっこよさ」で我慢するにはデメリットが大きすぎると思います。

 唯一Macが優れているとしたら、プログラミングのしやすさでしょうか。ここだけは間違いなさそう。特にiPhoneiPadアプリ開発Macでしかできません。Apple信者でない人がMacをあえて選ぶ理由があるとしたらこの点ですかね。

 結論、迷ったらWindows一択。HomeかProかはどっちでもいいです。ただ動画編集したい人と理系はProの方がいいかも。長時間かかる動画書き出しとか数値計算とかやってる最中にWindows アップデートが入って再起動されたら目も当てられないので(Proなら「勝手にアップデート始めるな」という設定ができる)。

 

オフィスソフト

 「なし」でも良いと書いたのは、大学によってはマイクロソフト包括契約していて学生・教職員はMicrosoft Office 365(Word、ExcelPowerPointを含む)を無料で使えることがあるため(ただし卒業後はもちろん買い直す必要がある)。自分の学校が契約しているかは↓のURLで大学のメールアドレスを打ち込めばわかります。自分のアドレスをまだもらえてない場合は、先輩とか大学の情報センターとかに問い合わせてみましょう。

無償の学校・学生用Microsoft Office 365 | Microsoft Education

 残念ながら自分の大学は契約してなさそうな場合も、Officeは別売りで買うこともできるし、アカデミック版なら最初から付いてる場合との価格差もほぼないので*5、とりあえずOfficeなしモデルを買っておくのでも大丈夫。なおOffice PersonalはPowerPointがついてないので注意(授業やゼミ・卒論発表会などのプレゼンにはPowerPointがないときつい)。

 KINGSOFTやWPSのオフィスは学生はやめておきましょう。安く済むけど少なくとも大学で使ってる人はほとんどいないので、情報が少なくて困ることになります。

 

 メモリ

 パソコンの作業スペースの広さにあたる部品です。人で言うと机や作業部屋の広さ。容量が大きいほどサクサク動きます(部屋・机が狭いと片付けながら作業しないといけないが、広ければ散らかしたまま空いてるところでやれるという感じ)。8GBは最低でも欲しいです。今時4GB以下だと動作が遅すぎてぶん投げたくなります

 なおDDR4 PC4-21300とか書いてあるのはメモリの規格で、PCx-xxxxxの数値が大きいほど新しく性能が良い(データの出し入れが速い)です。が、マニア以外は気にする必要なし。

 

ストレージ

 パソコンのデータ保存倉庫にあたる部品です。これも基本的には容量が大きいほどよい。

 「基本的には」なのは、タイプが大別してSSDとHDDの2種類あるため。迷ったらSSDのものを選ぶとよいです(たまに両方内蔵のPCもある)。SSDとHDDの違いは下表の通り。

  SSD HDD
同じ容量あたりの価格 高い 安い
同じ価格あたりの容量 少ない 多い
データの読み書きの速度 速い 遅い
衝撃などへの耐性 強い 弱い
消費電力・発熱 少ない 多い
騒音 なし あり
寿命 一般的な使用では気にする必要なし

 SSDを勧める理由はなんと言ってもデータの読み書きの速さ。SSDのパソコンは動作が非常に軽快。

 読み書きの速さには大きく分けて「シーケンシャル」と「ランダムアクセス」があるのですが、SSDはHDDより少なくともシーケンシャルで2倍、ランダムアクセスで40倍ぐらい速い。M.2.SSDというタイプだとそれぞれHDDの10倍、300倍近くにも。それが処理速度の差としてものすごく効いてきます。

 その代わり容量あたりの価格は高いですが、大きなファイルを扱うようになったら外付けHDDを導入するという運用で十分です。動画や一眼レフカメラのRAWファイルを大量に扱うのでない限り、512GBあれば余裕で足りると思います。そういうクリエイティブな作業をしない(そのためのソフトをインストールしない)なら256GBでもまあ。

 寿命についてはSSDは短いと書かれてる文章もありますが、近年はかなり改善していて、一般的な使用ではほとんど気にする必要はないレベルです*6。 

 

グラフィック

 グラフィック機能のために専用のメモリとCPU(GPU)が内蔵されているかの項目です。迷ったらGeForce系。

 Intelのは全体のCPUとメモリの処理能力の一部を借りてグラフィックを処理するものなので、処理の内容によってはもたつく。GeForceRadeonの高ランクのが入ってるとすこぶる快適です。プログラミング、動画・写真編集、ゲームやる人は「GeForce系・Radeon系」を選びたいところ(それぞれのモデル番号などの詳細は↓などを参照しましょう)。

グラフィックボード人気ランキング 2021/2/2更新【ドスパラ】 |ドスパラ公式通販サイト

 

重量

 言わずもがな。持ち運ぶことを考えると2kgを超えるとちょっと疲れます。体力に自信があるなら or 荷重トレーニングするつもりなら重いのでも。一方で、軽すぎるのも耐久性が犠牲になってることがあるので注意しましょう。

 

駆動時間

 ACアダプタ外したバッテリー駆動で何時間動くかの目安です。といっても気温やCPUの頑張り具合によってはカタログ値の半分以下の時間でバッテリーが切れることもあるので注意。外で使うなら最低6時間ぐらいはあったほうがよいです。

 

その他 

  •  CD・DVDドライブ(光学ドライブ)… 必要になったら外付けを買うので十分。数千円で買えます。店頭でパッケージのソフト買っても「ここからダウンロードしてください」みたいなのどんどん増えてます。
  • 画面 … デカい方が快適だけどその分持ち運びとバッテリーの持ちが厳しくなるので14型前後がバランス良い印象です。解像度はこだわる人以外はフルHDで十分。パネル種類は「IPS」が安心ですが他の種類も性能が上がってるので、特に書いてないものも多い*7。レビューがあれば「視野角が狭い」みたいな話がないかチェックしておくといいかも。
  • インターフェース・端子数 … 多ければ多いほど便利ですが、USB接続の外付けの拡張ドックも市販されてるのでさほど気にしなくてよいです。もっともUSBポートが1つだけだとさすがに不便なので避けましょう。
  • ネットワーク … たまにスマホSIMカードを挿して単独でインターネットにつなげられるものがあります。有線LANポートはあったほうが良いですが、絶対必要と言うほどではありません(有線接続の方が安定するのでオンライン授業なやオンラインゲームでは有利)。他の項目はマニア以外気にしなくて大丈夫。
  • キーボード … まれに英語配列のモデルがありますが、ほとんど気にしなくて良いです。一応日本語で絞っておいたら無難。英語配列日本語配列の違いは次のページなどを参照:キーボード。日本語配列と英語配列。 - ツクモゲーム部
    テンキーもあれば便利ですがその代わり他のキーが小さくなったりEnterキーの右にキーがあると打ちにくかったりするので、無い方が快適な場合も。
  • その他・セキュリティ・チューナー … 特にチェックする必要は無いです。お好みで。BluetoothWebカメラだけは無いと不便ですが、今時付いてない方が珍しいです。不安なら念のためこの2つはチェックつけておきましょう。

*1:CPUをXEONにするとかOSをWin10Enterpriseにした場合とかは知りません

*2:文系やし、と思ってても分野によっては専門課程や特に大学院まで進むと科学計算ソフト・統計ソフトが欲しくなったりします

*3:ただし2.0GHz以上のCPUを選ぶのがおすすめです。というのは、オンライン会議でよく使うZoomのバーチャル背景機能が、2.0GHz以上を要件としているからです バーチャル背景のシステム要件 – Zoom ヘルプセンター

*4:ちょっと思想の強い項目になってしまった

*5:これもやはり卒業後は買い直す必要ありますが

*6:めちゃめちゃ負荷をかける人や年単位で放置する可能性がある人はHDDの方がいいかもしれないけど、普通そんなことはないでしょう

*7:昔は視野角の狭い(斜めから画面を除くと白く見えるあの現象が起こりやすい)液晶が多かった中で、圧倒的に視野角の広いのがIPS液晶だった。最近はIPS液晶が安くなったことや他の方式の液晶も視野角が広くなったこともあり、あまり明示されなくなった